令和2年度学校保健統計調査

本日、令和2年度の学校保健統計調査の結果が文部科学省より発表されました。

裸眼視力が1.0未満、いわゆる「視力低下」と判定された生徒の割合は、小学生で37.52%、中学生で58.29%でいずれも過去最悪の数字を2年連続で更新しました。

タブレット機器の浸透はもちろん、ICT教育の推進化、屋外活動時間の減少など、様々な要素が絡み合っての結果であるといえるでしょう。

個人的には、小学校1年生でも24.22%が視力低下と判定されている、という結果に驚きを禁じ得ませんでした。

幼さゆえ偽陽性(本当はもっと見えるはずなのに見えていないと判定されてしまう)も含まれているとは思うのですが、仮に20%だとしても5人に1人はどちらかの目が視力1.0を下回っている、ということです。これはかなり深刻に受け止めなければいけない事態でしょう。

このような時だからこそ、学校、家庭、そして眼科医が連携して、ICT教育の利点だけではなく弊害もしっかり伝えつつ、タブレット機器の正しい使い方、屋外活動の推奨など、近視発症予防、ならびに近視進行抑制に対する意識を高めていかなければならないと強く感じます。

文部科学省発表のデータはこちら

眼科健診と給食

都内の小学校の眼科健診に行ってきました。

小学校訪問は去年の12月の健診以来です。昨年度は臨時休校の影響で健診が出来たのがようやく12月になってから、という有様でしたが、今年は何とか例年通りに行うことが出来ました。

視力低下で眼鏡使用、もしくはその予備軍の生徒が多かったのは相変わらず、です。

この小学校では全生徒に学習用のipadが配布されています。効率の良い勉強法を推進することは間違っていませんが、タブレットを閲覧する際の作法、すなわち近視を惹起させないためにはどのように使っていくのが最適か、を今後児童、ならびに保護者に対して指導していかなければならない、と眼科校医として強く感じました。必ずその機会を設けることを保健の先生と約束して健診を終えました。

本日も給食をいただきました。

5月31日の献立:

かつおめし じゃがいもの土佐煮 野菜の梅だれ和え 牛乳

勤務中にクリニックで食べる昼食は毎回コンビニのおにぎりやサラダばかりなので給食を毎日食べていたいです。

ごちそうさまでした!

眼科健診~おまけ~

昨日の眼科健診の余談です。

先述のとおり、昼休みをまたいで健診を行ったため、給食をいただくことができました。

こちらです。

12月17日の献立:

ごはん 魚の香味焼き ほうれん草のおひたし 具だくさんみそ汁 牛乳

小学校の給食を食べるのは、実に27年ぶりです。

昔を懐かしみながら、完食させていただきました。

温かくてとてもおいしかったです。

ごちそうさまです。ありがとうございました!

眼科健診

都内の小学校の眼科健診に行ってきました。

学校保健安全法により、児童生徒は年1回、眼科健診を含めた定められている健診を受けなければならないことになっております。6月30日までに実施するのが望ましいとされていますが、今年度は臨時休校期間があった関係で、その後も様々な事情でずれにずれ込んでようやく今日になって出番がやってきた・・・といったところです。

1年生から6年生まで、対象は約600人の生徒たちでした。例年であれば午前中のみで終えられるのですが、今年は感染予防対策の関係で所要時間が長めに見込まれたため、昼休みをまたいで午前8時30分から午後3時までの1日がかりとなりました。なかなか疲れました。

終えてみての所感といたしましては、アレルギーの生徒がやはり少なかったです。例年はまだ春の花粉症もピークアウトしない4月に行っていた関係で、充血している生徒が多いのですが今回はごくわずかでした。おそらくダニやハウスダストによる通年性アレルギーでしょうが、改めて花粉症の有病率の高さを実感しました。

また、別日に実施済であった視力検査の結果も確認しながら進めていたのですが、

視力が低下している生徒が多すぎます。本当に多すぎます。

小学校低学年でも0.3未満を示す「D」がついている生徒も予想以上にいましたし、高学年に至っては1.0以上を示す「A」が両眼ともついている生徒、つまり「異常なし」の生徒が10人にも満たなかったクラスもありました。1クラス30人以上いるのに、です。ほとんどが近視によるものと考えていいでしょう。

小児の近方作業時間(ゲーム、タブレットなどによる)が年々長くなっている結果、それが近視の発症ならびに進行に深く関わっていることは周知の事実ですが、今年の視力健診の結果には脱力感さえ覚えました。やはり3月から5月にかけての臨時休校期間が子供達の視力にとっては大きくマイナスに働いたものと考察します。あの時、外出せずに(できずに)、自宅でゲームやタブレットに長時間没頭してしまった結果、近視を発症してしまった生徒が全国でいったいどれだけいるのか・・・。想像もつきません。眼科医としての立場から言わせてもらえば、あのような期間は二度とあって欲しくないと切に願います。