都内の小学校の眼科健診に行ってきました。
学校保健安全法により、児童生徒は年1回、眼科健診を含めた定められている健診を受けなければならないことになっております。6月30日までに実施するのが望ましいとされていますが、今年度は臨時休校期間があった関係で、その後も様々な事情でずれにずれ込んでようやく今日になって出番がやってきた・・・といったところです。
1年生から6年生まで、対象は約600人の生徒たちでした。例年であれば午前中のみで終えられるのですが、今年は感染予防対策の関係で所要時間が長めに見込まれたため、昼休みをまたいで午前8時30分から午後3時までの1日がかりとなりました。なかなか疲れました。
終えてみての所感といたしましては、アレルギーの生徒がやはり少なかったです。例年はまだ春の花粉症もピークアウトしない4月に行っていた関係で、充血している生徒が多いのですが今回はごくわずかでした。おそらくダニやハウスダストによる通年性アレルギーでしょうが、改めて花粉症の有病率の高さを実感しました。
また、別日に実施済であった視力検査の結果も確認しながら進めていたのですが、
視力が低下している生徒が多すぎます。本当に多すぎます。
小学校低学年でも0.3未満を示す「D」がついている生徒も予想以上にいましたし、高学年に至っては1.0以上を示す「A」が両眼ともついている生徒、つまり「異常なし」の生徒が10人にも満たなかったクラスもありました。1クラス30人以上いるのに、です。ほとんどが近視によるものと考えていいでしょう。
小児の近方作業時間(ゲーム、タブレットなどによる)が年々長くなっている結果、それが近視の発症ならびに進行に深く関わっていることは周知の事実ですが、今年の視力健診の結果には脱力感さえ覚えました。やはり3月から5月にかけての臨時休校期間が子供達の視力にとっては大きくマイナスに働いたものと考察します。あの時、外出せずに(できずに)、自宅でゲームやタブレットに長時間没頭してしまった結果、近視を発症してしまった生徒が全国でいったいどれだけいるのか・・・。想像もつきません。眼科医としての立場から言わせてもらえば、あのような期間は二度とあって欲しくないと切に願います。