令和2年度学校保健統計調査

本日、令和2年度の学校保健統計調査の結果が文部科学省より発表されました。

裸眼視力が1.0未満、いわゆる「視力低下」と判定された生徒の割合は、小学生で37.52%、中学生で58.29%でいずれも過去最悪の数字を2年連続で更新しました。

タブレット機器の浸透はもちろん、ICT教育の推進化、屋外活動時間の減少など、様々な要素が絡み合っての結果であるといえるでしょう。

個人的には、小学校1年生でも24.22%が視力低下と判定されている、という結果に驚きを禁じ得ませんでした。

幼さゆえ偽陽性(本当はもっと見えるはずなのに見えていないと判定されてしまう)も含まれているとは思うのですが、仮に20%だとしても5人に1人はどちらかの目が視力1.0を下回っている、ということです。これはかなり深刻に受け止めなければいけない事態でしょう。

このような時だからこそ、学校、家庭、そして眼科医が連携して、ICT教育の利点だけではなく弊害もしっかり伝えつつ、タブレット機器の正しい使い方、屋外活動の推奨など、近視発症予防、ならびに近視進行抑制に対する意識を高めていかなければならないと強く感じます。

文部科学省発表のデータはこちら

御閲覧有難うございました

私のインタビュー記事が週刊新潮に掲載されてから1ヶ月が経ちました。

各方面から多大なる反響が寄せられました。

事前に告知していた親しい友人はもちろんですが、もう何年も連絡を取っていなかった大学の同級生や部活の先輩、さらには告知していなかった大学の恩師の教授などが、記事を見たよ!とわざわざ連絡をくださいました。

大学の教授は、「毎週木曜日に見出し広告を見て新潮か文春のどちらかを買って読んでいるが、6月3日は新潮を選んで読み進めていたら何かどこかで見たことある顔だな、と思ったら君だったよ」と笑いながらおっしゃっていました。深い縁によって新潮を選ぶように導かれた、ということかもしれません。こんなこともあるのですね。

同級生からは、「次は文春か?文春砲で登場しないように気を付けろ」とアドバイスをもらいました。言われたとおりに真摯に生きていきたいとは思いますが、文春砲の餌食になるぐらい著名にもなってみたい、と少しだけ思います。

その他、すでに当院に近視に対するアプローチで通院されているお子様の保護者の方からも感想を寄せられましたし、あるいは「新潮の記事を見てオルソケラトロジーをこちら(当院)で導入したいと思って来ました」という新規患者の方も複数いらっしゃいました。かなり遠方から親子でいらっしゃったご家族の方もいて嬉しい限りです。

拙ブログのアクセス数も、記事が出てからアクセス数が急増いたしました。興味を持ってくれた読者の皆様がたくさん訪問してくださっているものと思います。

皆様の期待に応えるべく、近視を含めた眼科分野に関するトピックスについて、今後も不定期に更新してまいります。

週刊新潮に掲載されました

本日6月3日発売の週刊新潮(6月10日号)に、私の紹介記事が掲載されました!

「良医の視点(vol.39)」というコーナーで、オルソケラトロジーの特集記事に堂々たる見開き2ページ!で登場しております。

「小児の近視進行を抑制するためのアプローチ法のひとつにオルソケラトロジーがあるので、どんどん目が悪くなってしまっている小児とその保護者の方は、近視を矯正するための選択肢として、『そういうのがあるんだなぁ』、程度でいいですから頭の片隅に留めておいてください」という趣旨の記事となっております。

記事を出したからといって、近視の小児の方には何としても!絶対に!!オルソケラトロジーを強くおすすめします!!!成人の方もどうぞ!!!!というオルソケラトロジーごり押しの主張では決してございません。

掲載された他の先生方の特集記事も拝読しましたが、自分同様、いずれもオルソケラトロジーの小児に対する有効性に焦点を当てた内容となっていました。日中に眼鏡もコンタクトレンズも不要になる、というメリットは魅力的ですが、それ以上にやはり小児において近視進行抑制効果が得られるということがオルソケラトロジーの最大の魅力、利点であると私は思っております。もちろんこれは私個人の感想ですが、同様の考えを持たれた先生方が他にも多数いらっしゃるということが確認できたのは素晴らしいことでした。

お子さん、もしくはお孫さんが近視で見えにくくなっているという週刊新潮読者で、記事を読んでオルソケラトロジーに興味を持たれ、治療してみたい、もしくは話だけでも直接聞いてみたい、という方がいらっしゃいましたら、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。

拙ブログをご覧の方のほとんどは週刊新潮の記事を読んでからアクセスしてくださった方だと思われますが、まだ記事を読まれていない方は、是非とも週刊新潮6月10日号(440円)をご購読のうえ特集記事をご覧ください。私は家庭内閲覧用と院内閲覧用と永久保存版用(家宝にします)で3冊買いました。

WEB版も本日から公開されています。こちらからご覧ください。

今回の特集記事が週刊新潮読者とそのご家族の皆様の健康増進に少しでも貢献できれば幸いです。

眼科健診と給食

都内の小学校の眼科健診に行ってきました。

小学校訪問は去年の12月の健診以来です。昨年度は臨時休校の影響で健診が出来たのがようやく12月になってから、という有様でしたが、今年は何とか例年通りに行うことが出来ました。

視力低下で眼鏡使用、もしくはその予備軍の生徒が多かったのは相変わらず、です。

この小学校では全生徒に学習用のipadが配布されています。効率の良い勉強法を推進することは間違っていませんが、タブレットを閲覧する際の作法、すなわち近視を惹起させないためにはどのように使っていくのが最適か、を今後児童、ならびに保護者に対して指導していかなければならない、と眼科校医として強く感じました。必ずその機会を設けることを保健の先生と約束して健診を終えました。

本日も給食をいただきました。

5月31日の献立:

かつおめし じゃがいもの土佐煮 野菜の梅だれ和え 牛乳

勤務中にクリニックで食べる昼食は毎回コンビニのおにぎりやサラダばかりなので給食を毎日食べていたいです。

ごちそうさまでした!

アレルギー性結膜炎の初期療法

まもなく花粉症の季節が到来します。

スギ花粉やヒノキ花粉によるアレルギー性結膜炎(もしくはアレルギー性鼻炎)で毎年のように悩まされている方は今から憂鬱な気分になられているかもしれません。

今回はアレルギー性結膜炎に対する「初期療法」を紹介します。

初期療法とは、花粉症の際に使用する抗アレルギー剤の点眼薬を、花粉の飛散が始まる1~2週間ほど前からあらかじめ点眼を開始することで、いざ本格的に花粉症のシーズンに突入しても、全体的に低いレベルでかゆみの症状を落ち着かせることが出来る、というものです。

(参天製薬のサイトから引用)

今年の春の花粉飛散量は例年並みと予測されていますが、去年がかなり少なかったということもあり、今年は去年よりはアレルギー症状が強く発現するのではないか、と危惧されます。

花粉症の方は、症状が全くない今のうちから抗アレルギー剤点眼薬の使用を開始することで、来たるべきシーズンに備えましょう。

緊急事態宣言

政府は1月7日、1都3県に対して2回目の新型コロナウイルス感染症対策のための緊急事態宣言を出しました。

前回と違うところはいくつかありますが、そのなかでも私個人がホッとしたのが学校に対する臨時休校が要請されなかったことです。

(↑NHKの新型コロナウイルス特設サイトより)

日本小児科学会は、11月11日付で「小児の新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)に関する医学的知見の現状」というタイトルで学会としての見解をHPに公開しています。そのなかで次のように考察されています。

「学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい」

「教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身に影響を及ぼしている」

指摘されているとおりであると私も思います。

僭越ながら、眼科医として上記の補足をさせていただくならば、悪影響は視機能にも大きく及んでいる!!

去年1年間の臨床の現場で、臨時休校期間明けに久々に受診したらガクンと視力が低下していたという学童の症例を数多く経験しました。生活習慣を詳しく聞き取ってみると、休校で自宅で過ごす時間が長く、また外に遊びに行かずに(行けずに)、ゲームに熱中したりタブレットを視聴している時間がとても長くなっていた、という方がほとんどでした。

臨時休校と外出自粛のセットは視力にとっては最悪の組み合わせです。1日2時間以上の屋外活動が近視進行の抑制につながることが示唆されており、過度におそれて外出を自粛して引きこもりがちになってしまうことは近視進行の観点からみても好ましくありません。さらに自宅内でゲームやタブレットばかり見て一日の大半を過ごすとなると・・・もはや近視になれ、と言っているようなものです。

今回、臨時休校が要請されなかったことに関しては、文部科学省の判断は素晴らしいと評価したいです。そして、子供たちには放課後も外で大いに元気よく遊びまわってもらいたいです。過度な自粛を子供たちにまで強要しようとする愚民がもしいたら、上記の日本小児科学会の見解を100回読み返すことをおすすめします。

眼科健診~おまけ~

昨日の眼科健診の余談です。

先述のとおり、昼休みをまたいで健診を行ったため、給食をいただくことができました。

こちらです。

12月17日の献立:

ごはん 魚の香味焼き ほうれん草のおひたし 具だくさんみそ汁 牛乳

小学校の給食を食べるのは、実に27年ぶりです。

昔を懐かしみながら、完食させていただきました。

温かくてとてもおいしかったです。

ごちそうさまです。ありがとうございました!

眼科健診

都内の小学校の眼科健診に行ってきました。

学校保健安全法により、児童生徒は年1回、眼科健診を含めた定められている健診を受けなければならないことになっております。6月30日までに実施するのが望ましいとされていますが、今年度は臨時休校期間があった関係で、その後も様々な事情でずれにずれ込んでようやく今日になって出番がやってきた・・・といったところです。

1年生から6年生まで、対象は約600人の生徒たちでした。例年であれば午前中のみで終えられるのですが、今年は感染予防対策の関係で所要時間が長めに見込まれたため、昼休みをまたいで午前8時30分から午後3時までの1日がかりとなりました。なかなか疲れました。

終えてみての所感といたしましては、アレルギーの生徒がやはり少なかったです。例年はまだ春の花粉症もピークアウトしない4月に行っていた関係で、充血している生徒が多いのですが今回はごくわずかでした。おそらくダニやハウスダストによる通年性アレルギーでしょうが、改めて花粉症の有病率の高さを実感しました。

また、別日に実施済であった視力検査の結果も確認しながら進めていたのですが、

視力が低下している生徒が多すぎます。本当に多すぎます。

小学校低学年でも0.3未満を示す「D」がついている生徒も予想以上にいましたし、高学年に至っては1.0以上を示す「A」が両眼ともついている生徒、つまり「異常なし」の生徒が10人にも満たなかったクラスもありました。1クラス30人以上いるのに、です。ほとんどが近視によるものと考えていいでしょう。

小児の近方作業時間(ゲーム、タブレットなどによる)が年々長くなっている結果、それが近視の発症ならびに進行に深く関わっていることは周知の事実ですが、今年の視力健診の結果には脱力感さえ覚えました。やはり3月から5月にかけての臨時休校期間が子供達の視力にとっては大きくマイナスに働いたものと考察します。あの時、外出せずに(できずに)、自宅でゲームやタブレットに長時間没頭してしまった結果、近視を発症してしまった生徒が全国でいったいどれだけいるのか・・・。想像もつきません。眼科医としての立場から言わせてもらえば、あのような期間は二度とあって欲しくないと切に願います。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーレンズは近視矯正のために開発された特殊な形状のハードコンタクトレンズです。通常のコンタクトレンズはソフトレンズでもハードレンズでも朝起床してから装着して夜就寝前に外すものですが、オルソケラトロジーレンズは就寝前に付けて、装着したまま睡眠を取り、起床後に外す、という使用法です。そのため、ナイトレンズと呼ばれることもあります。

オルソケラトロジーレンズを一定時間装用すると、角膜(くろめ)をわずかに扁平化(平らに)させることが出来ます。角膜の形状の微妙な変化によって屈折が変わり、近視矯正効果が得られます。それまで眼鏡やコンタクトレンズを必要とした方でも、オルソケラトロジーレンズを用いれば日中裸眼で快適に見ることが出来るようになります。そのため、球技などのスポーツに取り組んでいる方や、眼が乾きやすい方や花粉症などのアレルギーで悩んでいる方にはおすすめといえるでしょう。

日本眼科学会のガイドラインでは適応は-4.00Dまでの近視度数となっており、-4.00Dを超える近視の場合は、完全矯正効果が得られない可能性があります。つまり、近視の方の全てに適応があるわけではない、ということが注意点です。

また、同ガイドラインには、年齢は原則として20歳以上であり、20歳未満には慎重処方、となっています。当初は、LASIKと同じく20歳以上のみが適応となっていましたが、研究の結果オルソケラトロジーには近視進行抑制効果があるということが分かり、であるならば近視が進行する小児・学童にこそ適応すべきではないのか、との考えが広まった結果、未成年にも門戸が開かれるようになった、という背景があります。

私個人の意見ですが、オルソケラトロジーの最大の魅力はやはり近視進行抑制効果が得られることであると考えます。これは眼鏡や普通の単焦点コンタクトレンズにはない特徴です。同じ近視矯正をするのであれば、日中裸眼で過ごせるようになり、かつ近視進行抑制効果も得られるオルソケラトロジーレンズをぜひ使ってみたいと思いませんか?

順伸クリニック眼科では、オルソケラトロジーを今年の8月から導入いたしました。興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。当院での料金体系は以下のとおりです。

①適応検査代金 5000円

レンズデータを決定するために必要な検査一式を行います。

②トライアル代金 25000円(片眼の場合は12500円)

1週間トライアルレンズを貸し出しして、ご自宅で毎晩装用していただき近視矯正効果を確認します。

③レンズ代金 100000円(片眼の場合は50000円)

トライアルの結果にご満足であれば、レンズを購入いただけます。

レンズ購入を見送られる場合、トライアル代金の25000円は返還いたします。

以上、レンズを購入する場合にかかる総費用は130000円となっております。

これには最初の1年間の定期検査代、最初の1年間のレンズ紛失・破損時の補償も含まれています。