第5回:予防対策、再流行について

日常の予防について

不急不要な外出はなるべく避けることが原則である。手についたウイルスは流水で洗い流すだけでもウイルス量は70%程度減少する。石鹸を使用して30秒間手指を丁寧に洗うと、90%以上は減少するという。帰宅したときには、うがいをして、手を洗う習慣をつけるべきである。

また、ヒトは無意識に顔を触っているので、手に付着したウイルスを洗い流すことは重要である。マスクをしてウイルスの吸入を避けることは効果が乏しいが、咳をしている場合には飛沫を減少させる効果は証明されているので、ヒトが二人以上いる場合には、お互いにマスクを着用して2メートル位の距離を置くべきである。

再流行について

COVID-19の流行の抑制に成功した韓国では、外出制限が一部解除された数日後にはクラブに参加した40名が新たに感染したという。
北海道における再流行や3月の連休後に日本各地で感染者が急増したことと同じ現象である。ヒトが移動して3密状態となると、感染は拡大することはすでに判明している。再流行を完全に阻止するのは不可能のようであるが、本邦では国民一人一人の自覚と個人の権利を国家の強権で制限せずにこの国難を乗り越えられるかが試されている。

入戸野 博

目次:

⇒ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、これまでに分かったこと
⇒ 第1回:COVID-19における潜伏期と臨床症状について
⇒ 第2回:院内感染問題、オンライン診療、電話再診について
⇒ 第3回:治療薬とワクチン開発について
⇒ 第4回:予後、重症化症例について
⇒ 第5回:予防対策、再流行について
⇒ 第6回:医療崩壊、世界から見た日本の対応について