第3回でもこの問題について触れているが、その後の進展状況について調べてみた。治験中のコロナワクチンの開発数は世界で23種類あり、このうち9種類が中国に関係しているという。報道によると、中国におけるワクチン開発の元になっているのは海外で活躍していた研究者の技術であり、裏にあるのが研究者たちの海外人脈と軍の強力な支援のようだ。中国とカナダはファーウェイ問題で関係が悪化していると思われているが、ワクチン開発に関して中国はカナダとの共同研究を推進しているという。軍の支援もあり、第1段階の臨床試験は世界で初めてヒトで効果を確認している。コロナワクチンも軍事科学院との共同開発である。軍はウイルスに関する防疫に関する研究の蓄積と潤沢な資金を有する。
欧米とのワクチン開発競争も激化している。さらにインドのワクチン生産世界最大手のセラムが参入し、低コストで量産して年内に4億回分をつくるという。コロナワクチンは供給量の不足が懸念されており、先進国が占有する可能性が指摘されている。そこで低コストで量産のノウハウを有するインド勢の参入で新興国も調達しやすくなるという。世界各国でコロナワクチンが開発されているが、いずれにしても今後の課題はやはり有効性と安全性の確認である。
他方、本邦でのワクチン開発も進行しているようだが、実用化までには数年を要す模様である。具体的に日本国民にワクチン接種が最速で接種可能となるのは、英国のアストラゼネカとオックスフォード大学の開発しているものと考えられる。有効性や安全性の検証もされつつあり、早期に導入される可能性があるようだ。日本の製薬会社は、アストロゼネカから原液の提供を受け、政府はワクチン接種対象者の順番を決める予定であるという。
入戸野 博