新生児から乳児期の気になる症状について

うんちのはなし

7.便秘について

生下時には排便が1日に複数回あったものが、成長とともに自然に回数が減少します。特に離乳食を開始すると、便性が硬い傾向に変化します。母乳から人工栄養に変更した場合にも便が硬くなることがあり、1歳を過ぎるころになると便秘となるお子さんが増えます。便が硬くて太い場合には排便が痛いために我慢するようになり、肛門が切れて出血することもあります。

このような状態まで適切な処置をしないで放置すると、排便時の痛みのために排便を我慢して悪循環が形成され、難治性となってしまいます。ひどい場合には、直腸に便が下りても排便反射が障害されて母親の握りこぶし大くらいの便塊となり、1回の浣腸をしても排便を誘発できないこともありますし、肛門から便の先端が見えることもあります。クスリ、浣腸、食事療法などを実施し、1週間に3回程度の排便を目標に治療を継続します。排便ごとに浣腸が必要なまでに放置すると、治癒までに数か月間の時間がかかるので早目に受診することを勧めます。

治療薬には坐薬、ドライシロップ、液体、粉末など各種存在しており、お子さんに合ったものを投与して排便をコントロールします。治療開始時にはしばらくのあいだ、浣腸が必要なこともあります。

また先天的に腸の神経節の欠損が原因である先天性巨大結腸症という病気では、腸管の動きが障害されて新生児期から腹部がはれて嘔吐します。便秘と下痢を繰り返して年長児で発見されることもあります。

肛門から造影剤を注入して画像検査をし、直腸粘膜生検をして診断をします。手術が必要ですが、場合によっては人工肛門の増設が必要となることもあるし、長期間の浣腸や下剤による治療が必要です。便秘は苦痛を伴うので、患児が排便を快適と思えるまで根気強く治療を続ける必要があるでしょう。

入戸野 博