小児期、思春期

4 熱中症について

最近では、毎年夏になると熱中症が話題となっています。

熱中症は高温環境下における生体の適応障害の総称であり、軽症、中等症、重症に分類されています。

日常の小児医療において、マスコミで報道されている患児の大部分は軽症例です。軽症は「熱痙攣」とも呼ばれ、体温上昇はないか軽度であり、もちろん臓器障害はありません。暑さによる末梢血管の拡張がおこり、一過性の血圧低下に伴う「めまい」や「立ちくらみ」などの症状、筋肉の有痛性痙攣などです。

中等症は「熱疲労」とも呼ばれ、大量発汗による脱水と電解質喪失による末梢性循環不全で、40℃以下の体温上昇と頭痛、疲労感、筋力低下、悪心、嘔吐、ショック症状などの多彩な症状を示します。

重症は「熱射病」と言われ、体温調節機構の破綻により体温上昇は40℃を超えます。全身臓器が障害され、中枢性神経症状や血液凝固障害などをきたし、致死率が高いために集中治療室での治療が必要です。

熱中症は予防が可能な疾患です。炎天下での活動の場合には必ず運動の前に十分な睡眠と水分をとります。半袖半ズボンで帽子をかぶって20~30分おきに休憩をとり、その際に水分補給をするようにします。子供たちの運動活動の指導者が、このようなポイントを心がけていれば熱中症の予防は可能でしょう。

屋外での運動習慣、十分な睡眠時間の確保ができる環境、規則正しい生活リズム、適切な栄養摂取などが満たされていることが大事だと思います。

体育館などのように直接には強い日光に当たらなくとも、風通しの悪い場所では発汗が抑制されて熱中症になることがありますので注意が必要です。

日常的に屋外での遊びを全くせずに室内でゲームばかりしていたり、睡眠時間が足りない場合や極端な偏食による貧血などがあると、運動会の練習時などに熱中症症状が出やすいと考えられます。同じ環境で運動している集団の中で体力が低下している個体から、症状が出やすいのだと思います。熱中症予防の基本は、規則正しい生活が大事だと思います。