小児期、思春期

2.チック障害について

突発的に目をぱちぱちさせたり、片方の肩を上げたり、首を曲げたりする動作を繰り返す状態が4週間以上持続しているものをチックと言います。これとは別に、音声チックがあり、突然の発声により周囲の人が驚く場合もあります。

チック症状を見ると親は気になって子供に注意をすることが多いようですが、これは逆効果となり、叱られた直後には逆にチック症状が増加しますので気をつけてください。

チックは子供の15%も経験していますが、多くは一過性であり、ほとんどの子供は1年以内に症状が改善します。重症化することは稀です。

親は自分の育て方が悪いと悩みますが、最近のチックの病因はドパミンD2受容体拮抗薬が有効なことや、ほかの神経伝達物質に作用する薬剤も効果があることから、ドパミンをはじめとする神経伝達物質やそれらのバランスの変化がチックに関与し、チックの障害部位は大脳基底核と前頭葉および辺縁系が関与していることが想定されているようです。育て方の問題ではないのです。

周囲の無理解のために不登校になる場合もあり、このような場合には担任への説明も必要になることもあります。教室でチック症状が頻発するようなら、保健室などへの隔離も考えます。このような場合には小児神経専門医による薬物療法も考慮すべきでしょう。また、溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染症(しょう紅熱)の後からチック様の不随意運動がまれに出現することもありますので、注意が必要です。原因は確立していませんが、自己免疫疾患が考えられています。