小児期、思春期

1.朝、なかなか起きられない子供たち

起立性調節障害(きりつせい ちょうせつしょうがい)について

この病気は、小学生高学年から中高生の女児に多い病気です。重症な子供は、校庭や体育館で校長先生の朝礼でのお話の途中で顔色が青ざめて、立っている状態から気持ちが悪くなり(たちくらみ)、ひどいと転倒(失神)してしまいます。

このような症状の病気は、起立性調節障害が疑われます。主な症状は①立ちくらみあるいはめまいを起こしやすい、②立っていると気持ちが悪くなる、③(熱い)風呂が苦手、④少し動いただけで動悸や息切れがする、⑤朝の起床困難(体がだるくて、辛くて起きられない状態)と午前中調子(気分)が悪い。このほかには、⑥頭痛、⑦腹痛(へそのあたり)、⑧顔色が青白い、⑨疲れやすい、⑩バスなどの乗り物に酔いやすい、⑪食欲低下などです。

多くの子供たちは、早朝や午前中は苦手であるが、昼食を食べる頃から体調が回復して元気となり、夜は問題なく過ごせる(いわゆる夜型人間)などの特徴があります。

原因は、起立時の循環動態に対する生理的調節機構の異常で生じます。要するに自律神経機能異常によって、脳や全身の血流調節不全が起きます。すなわち、立っていると血圧が低下して上と下の血圧の幅(脈圧)が減少し、また心拍数が増加(心臓がドキドキする)して頭がふわーっとした状態(脳貧血)の症状が出ます。時に、不登校と間違えられたりすることもあります。

鑑別する病気は、脳腫瘍、甲状腺機能異常、不登校、てんかん、鉄欠乏性貧血、低血圧症などです。

診断は外来で20分くらいを要しますが、簡単な「起立試験」を行います。この試験は、起立しながら血圧と脈拍を5分おきに測定します。他の病気との鑑別のために、採血も行います。頭痛が激しい場合にはCT検査や脳波検査もすることがあります。

治療は、軽症の場合は起立時にあたまを下げてゆっくりと立ち上がり、長時間の起立は避けます。規則正しい生活リズムを目指します。

中等症以上では薬物療法を行います。重症な場合には、心理療法も必要になることがあります。