第8回:唾液によるPCR検査について

我が国でPCR検査数が世界に比して圧倒的に低いことに対しては、すでに第2回の診断の項で述べている。現在のPCR検査は鼻の奥の粘液が使用されているが、検体をとる際にせき・くしゃみが出やすく医療従事者に感染する危険性があるので、検体を採取する医療従事者は厳重な感染防護服を着用して実施しているのが現状である。

最近、唾液を用いるPCR検査試薬が開発された。この場合には専用の容器に患者自身が唾液を採取できるので、自宅でも採取可能で郵送もできる。

唾液によるPCR検査が社会保険の適用となり、遠隔診療で医師が患者の唾液によるPCR検査の必要性を認めたら、唾液採取用の検査キットを患者宅に郵送し、唾液採取後に患者が診療所または直接検査会社に返送するシステムを創設すれば、医療従事者と患者側の双方にとっての安全性が向上すると思う。

唾液による検査が実現して広く普及すれば、検査機会が大幅に拡大する可能性があり、早急な実現が期待される。

入戸野 博